第1章 オーガニックワインとは
オーガニックワインとは、化学肥料や化学合成農薬を使用せずに、自然の力を利用してブドウを育てたワインのことです。オーガニック栽培のブドウからしぼったジュースを発酵・熟成させて作られます。日本では2000年頃からオーガニックワインの存在が知られるようになり、近年では品ぞろえも増えてきました。オーガニックワインは、通常のワインと比べて次のような特徴があります。
・環境への負荷が少ない ・ブドウ本来の味わいを引き出している ・独特のフルーティーな香りがする ・化学薬品の使用がないため健康的
オーガニックワインを作るには、オーガニック認証を受けたブドウ畑での栽培が必須です。日本では認証を取得したブドウ園はまだ少ないのが現状です。しかし世界的にはオーガニックブドウの栽培面積は着実に増加しており、オーガニックワインの需要も高まっています。
オーガニックワインの認定基準や定義について
オーガニックワインを定義するための認定基準については、各国や団体によって異なります。
代表的なオーガニック認定制度としては、以下のようなものがあります。
・米国のUSDA organic – 化学肥料や化学農薬の使用が禁止されていることなどが定められている
・EUのオーガニック認定 – EU域内の共通基準に従い認定される
・デメテル認証 – フランスの民間団体が定める基準で化学物質の使用が制限されている
・JASオーガニック認定 – 日本のオーガニックJASマーク認定制度。化学肥料や農薬の使用が制限されている
・ビオディナミ認証 – 自然農法のビオディナミ栽培方法で栽培されたことを確認する認定
これらの認定を取得するためには、一定期間、定められた基準に沿った栽培を行っていることが求められます。認定によってオーガニックであることが保証されるため、消費者は安心して選べるようになっています。
第2章 オーガニックワインの歴史
オーガニックワインが本格的に作られるようになったのは1980年代頃からです。当時、ワイン生産地域では化学肥料や農薬の使用が拡大し、環境問題が深刻化していました。そうした中で、自然農法に回帰しようとする動きが winegrowingの世界でも起こりました。
オーガニックワイン生産の先駆者として知られるのが、フランスのボージョレー地方です。この地域のワイナリーが有機栽培とバイオディナミ農法の導入を積極的に進め、1980年代半ばからオーガニックワインの生産を開始しました。当初はあまり注目されませんでしたが、その品質の高さが認知されるにつれ、徐々にファンを獲得していきました。
その後、世界各地のワイナリーがオーガニック栽培に参入するようになり、1990年代から本格的なオーガニックワイン市場が形成されていきました。日本にも2000年頃から輸入されるようになったのです。
第3章 オーガニックワインの栽培方法
オーガニックワインを作るには、まずオーガニック認証を受けたブドウ畑での栽培が必要です。認証を取得するには、少なくとも3年間は化学肥料や化学合成農薬を使用せずに栽培していることが条件となります。
オーガニックブドウ栽培では、土壌改良のために緑肥作物を植えたり、自然の害虫防除力を高めるために周辺に花を植えたりするなど、生態系を活用した栽培が行われます。また、ブドウの病気は亜鉛やイチジクの木の煎じ汁などの天然薬品で防除します。
収穫後の醸造プロセスにおいても、化学合成添加物の使用は禁じられています。酵母の発酵力だけでワインを仕上げるため、非常に手間と熟練を要する工程といえます。しかしその分、ブドウ本来の味わいや個性を最大限に引き出したワインを生み出すことができるのです。
第4章 オーガニックワインの種類と特徴
オーガニックワインには、赤、白、スパークリングとさまざまな種類があります。産地別では、フランス、イタリア、スペイン、アメリカなど世界各地のオーガニックワインが存在します。
赤ワインは、ブドウ本来の果実味が感じられるフルーティーな味わいが特徴です。白ワインは、爽やかでフレッシュな酸味が楽しめます。スパークリングワインは、繊細な泡とフルーティーな香りが魅力で、アペリティフとして人気が高いです。
産地の違いによっても味わいは千差万別。気候風土に合わせたブドウの栽培と、各ワイナリーのこだわりが味に現れるのがオーガニックワインの醍醐味といえるでしょう。
第5章 オーガニックワインの楽しみ方
オーガニックワインは、その生産過程のこだわりから、通常のワインよりも高価なものが多いのが現状です。しかし味わい深さと健康面のメリットを考えると、その価値は十分にあると言えるでしょう。
まずは自分の好みの味や種類を見つけ、そのオーガニックワインをゆっくり味わうのがおすすめです。環境にも体にも優しいワインを楽しむことで、さらにその魅力が解き明かされてくるはずです。食事との相性を探ったり、友人とシェアしたりするのも良いでしょう。
オーガニックワインは、私たちの生活をより自然で楽しいものにしてくれる、スペシャルな存在といえるのではないでしょうか。ぜひその魅力を味わってみてください。