第1章 赤ワインと白ワインの原料の違い

赤ワインと白ワインの最大の違いは、使用するぶどうの種類です。

赤ワインは主に黒ブドウから作られ、白ワインは白ブドウから作られます。赤ワイン用の代表的なブドウ品種は、カベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、ピノ・ノワールなどです。一方、白ワイン用の主なブドウ品種は、シャルドネ、リースリング、ソーヴィニョン・ブランなどが挙げられます。

赤ブドウは果皮と果肉に色素が含まれているため、搾汁したときに色素がジュースに移ります。そのため、赤ワインは鮮やかなルビー色をしています。一方、白ブドウの色素は少ないので、白ワインは淡黄色がかった色合いになります。

ブドウの種類だけでなく、栽培環境も赤白ワインの違いに影響します。赤ワイン用ブドウは温暖な気候を好み、白ワイン用ブドウは温暖から冷涼な気候を好む傾向があります。だから、赤ワインの産地は中低緯度地域が多く、白ワインの産地は高緯度地域が多いのです。

第2章 赤ワインと白ワインの造り方の違い

赤ワインと白ワインは、醸造工程にも違いがあります。

赤ワインは、収穫したブドウを破砕し、皮や種子を混ぜた”マセラシオン”と呼ばれる工程を経ます。この工程で色素やタンニンがジュースに移ります。次に発酵させてから、熟成のためにオーク樽で長期間熟成させます。

一方、白ワインはマセラシオンをせず、すぐに搾汁後に発酵させます。その後、普通は樽熟成は行わず、ステンレスタンクで保管します。熟成期間も赤ワインより短く、1-2年程度です。

このように、赤ワインは皮や種子から成分を引き出す長い醸造工程を経るのに対し、白ワインは新鮮な果実の風味を保つのに適した手軽な醸造法が取られているのです。

また、白ワインは発酵前に澱と juice を分離する場合が多く、赤ワインほど濁りが残りません。この違いも赤白ワインの色調の違いに影響していると考えられます。

第3章 赤ワインと白ワインの味わいの違い

赤ワインと白ワインでは、味わいにも違いがあります。

赤ワインはタンニンや色素などの成分が豊富なため、凝縮感があり、コクのある味わいが特徴です。一方、白ワインはフレッシュで軽快な味わいが特徴で、果実の芳香が楽しめます。

赤ワインの味わいの違いは、使用するブドウの違いや、新ワインと熟成ワインの違いなどで生じます。例えば、ピノ・ノワール種の赤ワインは、他の種類に比べて豊かなフルボディの味わいがあります。一方、ガメ種の赤ワインは、さわやかな味わいが特徴です。

白ワインも、使用するブドウの種類によって、フルーティな味わいのものや、ドライでミネラル感のあるものなど、味わいは千差万別です。熟成の度合いによっても味わいは変化します。

食事との組み合わせでは、コクと重みのある赤ワインは肉料理との相性が良く、白ワインは魚介料理と合うことが多いとされます。

第4章 赤ワインと白ワインのアルコール度数の違い

赤ワインと白ワインのアルコール度数にも違いがあります。

一般的に、赤ワインのほうが白ワインに比べてアルコール度数が高く、12~15度くらいのものが多いです。これは、赤ワイン用ブドウの糖度が白ワイン用ブドウよりも高いことが影響しています。

白ワインのアルコール度数は、通常10~13度程度です。非常に辛口の白ワインでは9度台のものもあります。

しかし、近年では白ワインのアルコール度数が以前に比べて上昇する傾向にあります。これは、温暖化の影響で白ワイン用ブドウの糖度が上昇したことが一因と考えられています。

アルコール度数の高さは、ワインの熟成性能にも影響します。高アルコールの赤ワインは長期熟成に適していますが、低アルコールの白ワインはあまり熟成に適しません。

第5章 赤ワインと白ワインの飲み方、保存の仕方の違い

赤ワインと白ワインは、飲み方や保存の仕方にも違いがあります。

赤ワインは、広口のワイングラスでゆっくりと回転させながら飲むのが一般的です。これは、酸素を供給して味わいを開くためです。一方、白ワインは口当たりを重視して、冷やして飲むことが多いです。

保存の際も赤ワインは室温で、白ワインは冷蔵庫で保管するのが基本です。赤ワインは空気に触れることで熟成が進みますが、白ワインは空気に触れると酸化しやすいため、冷やしておくことが大切です。

また、赤ワインの方が長期間の保存に耐えると言われています。一般的に、赤ワインの上限は10-15年程度、白ワインの上限は5-10年程度と考えられています。ただし、とくに質の良いワインであれば、これ以上長期間熟成可能な場合もあります。

このように飲み方、保存の仕方においても、赤ワインと白ワインは異なる特徴を持っています。

第6章 赤ワイン、白ワイン以外のワインについて

赤ワインと白ワイン以外にも、様々な種類のワインがあります。

ロゼワインは、赤ワインと白ワインの中間的なワインです。赤ワインほど長くマセラシオンさせずに仕上げたワインで、淡いピンク色をしています。

スパークリングワインは、炭酸ガスを含む発泡性のワインです。シャンパンなどが有名ですが、プロセッコやカバなど世界各地で作られています。

豆臭さを感じる甘口のデザートワインは、貴腐ワインと呼ばれます。ブドウを遅摘みして糖度を高くしたもので、トスカーナ州のヴィン・サントなどが有名です。

フルーティで酸味の強い果実ワインは、ぶどう以外の果物を原料に作られます。代表的なのはリンゴから作る苹果酒ですが、最近ではトロピカルフルーツから作る果実ワインも人気です。

このほか、ハネイワイン、ヴェルモット、薬味ワインなど、個性的なワインも存在します。ワインには未知の可能性が無限にあるのです。

記事のまとめ【著者コメント】

赤ワインと白ワイン、この2つの定番のワインですが、実は原料、製法、味わい、アルコール度数、飲み方など、様々な点で異なる特徴があるのです。

本記事では、まず赤白ワインの原料となるブドウの違いから説明しました。赤ワイン用の黒ブドウと白ワイン用の白ブドウでは、色素の有無など果実の性質が異なります。次に、マセラシオンという工程の有無など、製法の違いが赤白の色調や味わいの違いに影響することを解説しました。

続いて、赤ワインのコクある味わいと白ワインのさわやかな味わいの違い、アルコール度数の違いなど、味わいの特徴の違いについて述べました。最後に、飲み方や保存法の違いにも触れました。

赤ワインと白ワインに加え、ロゼやスパークリング、果実ワインなど、実はワインにはまだまだ無限の可能性が秘められていることにも言及しました。ワイン初心者の方にもわかりやすく、赤白ワインの奥深さを伝えられたのではないかと思います。ワインの魅力を少しでもお伝えできていれば幸いです。